村野瀬玲奈の秘書課広報室 チュニジアとエジプトの春に実った種 (飛幡祐規さんの記事から)
チュニジアとエジプトの春に実った種 (飛幡祐規さんの記事から)
2011/02/27 18:00
モハメド・ブアジジという一人の青年の抗議の焼身自殺を引き金にしたチュニジアのジャスミン革命について、社会運動一般にもつながる、記憶しておきたい文章がありますので、抜粋してお持ち帰りさせていただきます。
●レイバーネット
飛幡祐規 パリの窓から
第14回・2011年1月23日掲載
「砂漠に種を蒔く」ージャスミン革命がもたらす希望
(前略)
1989年以来大統領の座に居すわりつづけたベンアリは、イスラム原理主義の脅威と闘うという大義名分のもとに、原理主義者の運動のみならずすべての政治的反対勢力、人権擁護運動、市民運動、労働組合など民主勢力を弾圧した。表現の自由の弾圧と報道の統制は近年ますます激化し、野党など反対勢力はほとんど力を奪われた。また、ベンアリ大統領の家族・親戚、とりわけ二度目の妻レイラ・トラベルシの一族は、マフィアのような手口で主要産業をつぎつぎと掌握し、富を貪るようになった。
こうした状況は、フランスなどに亡命した活動家や知識人と人権擁護団体によって摘発されていたにもかか� �らず、フランスをはじめ西洋の民主主義国は、ベンアリ政権がイスラム過激派とテロに対する砦であるとして、その反民主的な弾圧に対しても、閥族による腐敗政治と国富の強奪についても、目をつぶった。(中略)
チュニジアにかぎらずアラブ諸国の強権政治に「自由世界」が目をつぶるのは、イスラムに対する妄想的な恐怖も大きな要素だが、資本家や企業にとっては、市民が人権を蹂躙されようが知ったことではなく、安い労働力と規制の緩い安定した社会が欲しいのである。それにしても醜いのは、これまでずっと、すこぶる友好的にベンアリを支持してきたフランス政府の態度である。12月からつづいた市民の運動に対しても沈黙しつづけ、警察の発砲による死者が大勢出てからはじめて「遺憾である」とのみ表明した。 おまけに、ベンアリが逃亡する三日前、ミシェル・アリオ=マリ外相は「世界に定評のあるわが国の治安力のノウハウ」を(暴力がエスカレートしないよう)提供したいとまで言ったのだ。左翼から批判を受け、辞任を求める声も上がっているが、非を認めない。チュニジア市民はこのニュースを知って激しく怒った。
市民の不満の爆発と労働組合の役割、インターネットと軍隊
1930年の不況時代の家具
チュニジアの南部と中部で始まった抗議デモは、首都チュニスと全国の都市に広がった。1か月でベンアリを失墜させたジャスミン革命の速い展開に、全世界だけでなくチュニジア市民自身も驚いているようだ。野党には運動を組織できるような力はなかったため、デモや集会で中心的な役割を果たしたのは、チュニジア唯一の労働組合の全国組織UGTT(全国チュニジア労働連合)である。
(中略)
ジャスミン革命は、富を一族で貪る政権に対して、物価の高騰と失業、自由の剥奪にあえぐ市民の怒りの爆発によってもたらされたといえるだろう。街に繰り出したのは主に中産階級だった。この革命について、フェースブックやツイッターなどソーシャルメデ� ��アの重要性が指摘されているが、インターネットが大きな役割を果たしたのはなによりまず、政権が公共メディアを独占・統制していたからである。テレビやラジオを聞いても本当の情報は得られないから、人々はアルジャジーラなどのアラブ語衛星放送とネットメディアを情報源にした。チュニジアでは人口(約1000万人)の34%がネットメディアのユーザーだという。ベンアリの一族による統制がとりわけ強まったこの十年間、検閲を受けにくい空間として、ネット上の討論や情報交換が(「自由世界」で多い誹謗中傷と自己満足ではなくて)市民の政治意識を高めたであろうことが推測できる。教育を受けたチュニジアの中産階級は、政権の思想統制の網をくぐってアンダーグラウンドの文化(音楽、演劇、ブログなど)を発達させ� �いった。ブロガーのひとりは暫定政府の青少年・スポーツ担当に抜擢された。
(中略)
砂漠に蒔いた種
臨時の大統領、首相をはじめ前大統領の与党RDCのメンバーが主要ポストを握る暫定政府に懐疑的な市民は、RDC の解散を求めてデモを繰り返している。この圧力のおかげでRDCの執行部は解散し、暫定政府はRDCと国家の分離、政治犯全員の釈放、禁止されていた党の合法化などを決めた。野党の指導者やジャーナリストなど海外に亡命した人々が、続々と帰国している。
フランスの国営ラジオでは1月21日、チュニジアから実況でジャスミン革命の特別番組を放映した。自由に話せる歓びに震え、エネルギーがはじけるようなチュニジア市民の生の声が聞こえてきた。これから民主主義国家を築き、より公平な富の再分配をめざして経済を立て直すのは大仕事だろう。旧勢力やあらたな専制的勢力に、再び権力を掌握される怖れもある。でも今のところ、このジャスミン革命には、チュニジア市民の成熟さがあらわれているようにわたしは感じる。 大勢の女性が運動に参加している点にも注目したい。
最後に、亡命先のパリからチュニスに戻り、次回の大統領選に立候補した「共和国のための会議」党のモンセフ・マルズキ(1945年生まれ)の言葉を紹介しよう。1980年からチュニジアの人権同盟で活動していた彼は、たび重なる弾圧を受けた。昨年の5月にパリで、あるジャーナリストがマルズキに訊ねた。「チュニジアの政治情勢はこんなにも暗いのに、あなたはなぜそんなに前向きでいられるのですか?」彼は次のように答えた。「私は南の出身で、祖父が砂漠に種を蒔くのを見て育ちました。種を蒔いて待つ。雨が降れば植物が育つ。だから、砂漠であろうと種を蒔かなくてはならないのです。あした雨が降れば、すばらしい。でも、すぐに降らなくても種がそこにあれば、 いつか雨が降ったときに芽を出して育ちます。何もなければ何も育たない。砂漠に種を蒔くーーこの態度で私はすべてに臨むことにしています」。(インターネット新聞メディアパルトのフランソワ・ジェズ氏のブログから引用・訳)
2011/1/21 飛幡祐規(たかはたゆうき)
国土安全保障省は何ですか(引用ここまで)
ここで思い至ったのですが、パリ市長のベルトラン・ドラノエ(社会党)が、抗議の焼身自殺をしたモハメド・ブアジジの名を冠した通りをパリに作ることを提案したのは、上の記事で触れられているミシェル・アリオ=マリ外相への抗議の意味合いも結果として持ったのではないでしょうか。
それはともかく、最後に引用されているこの一節を噛みしめたいと思います。
「私は南の出身で、祖父が砂漠に種を蒔くのを見て育ちました。種を蒔いて待つ。雨が降れば植物が育つ。だから、砂漠であろうと種を蒔かなくてはならないのです。あした雨が降れば、すばらしい。でも、すぐに降らなくても種がそこにあれば、いつか雨が降っ� ��ときに芽を出して育ちます。何もなければ何も育たない。砂漠に種を蒔くーーこの態度で私はすべてに臨むことにしています」
(引用ここまで)もう一つ、上の文章を書いた飛幡祐規(たかはたゆうき)さんの続きともいえる文章が、保坂展人さんのブログにも転載されています。こちらも抜粋してお持ち帰りさせていただきます。
●保坂展人のどこどこ日記
アラブの春−チェニジアとエジプトの革命と民衆の力(飛幡祐規・パリの窓から)
2011年02月14日
2001年の9.11連続テロ以降、ブッシュ大統領のアメリカ合衆国が圧倒的な軍事力と資本によって国際社会に押しつけた不自由な世界ーー自分と異なる人々や文化を危険なものとして疑い、敵視し、抑圧しようとした二元論の有害な嘘が暴かれ、崩れつつある。この動きが何をもたらすかはまだわからないが、世界が新しい時代に入ったのはたしかだ。めざましいと感じた点をいくつか記しておきたい。
まず、チュニジアとエジプトで起きている出来事は「革命」とよぶべきものだ(なぜ日本の主要メディアはこの言葉を使わないのか?)。予想できなかったありそうもないことが起きて、既成の秩序を覆すーーそれが革命だ。辞書には、「被支配階級が支配階級を倒して政治権力を握り、政治・経済・社会体制 を根本的に変革すること」と定義されている。両国では、被支配階級の民衆が非暴力の抗議運動によって、政権を打倒するにいたった。この革命過程が成功すれば、体制が根本的に変革されて民主主義国家が築かれるだろう。挫折したり、真の変革が起きずに別の勢力に権力を握られたりすることもあるが、革命の精髄は、思いもよらなかった民衆の行動が既成の体制を覆すという点にあると思う。その意味で、ベルリンの壁の崩壊につづく東欧諸国と旧ソ連の変革に匹敵する革命が、アラブ世界で始まったといえるのではないだろうか。
これまで、いわゆる西欧先進国(自由世界)では、テロとイスラム原理主義の脅威を防ぐためには、アラブ諸国の強権的あるいは独裁政権と協力し、その反民主主義的統治にも目をつぶる以外に 道はないという理論が信じられ、実践されてきた。つまり、アラブ国家にはイスラム原理主義か強権的政権のどちらかしかありえない、アラブ人は民主主義国家を建設できないという考え(偏見)が信じられていたのだ。ところが、チュニジアとエジプトで起きたことはその理論をくつがえすものである。(中略)
チュニジアとエジプトでの民衆デモの映像や報道を見ればわかるが、蜂起した人々の大多数は宗教団体に属さない市民であり、抗議運動においてチュニジアのエンナーダとエジプトのムスリム同胞団が担った役割はとるにたりない。双方とも非宗教の民衆革命といえるのに、イラン革命のような宗教勢力が擡頭するのを怖れる声がただちに上がった。この恐怖も、原理主義の脅威という強迫観念(ほとんど妄想)が生み 出したものである。
(中略)
不法移民にホルヘ·ラモスの意見は何ですか?
したがって、イスラムに対する妄想的恐怖など捨てて注目すべきは、チュニジアとエジプトの民衆が示した成熟さ、民主主義的な政治感覚である。非暴力の抗議運動を警察に弾圧され、二百人以上の市民が殺されたたチュニジアでは、ベンアリ失墜後に旧勢力への報復リンチはまったく行われなかった。
エジプトでは、ムバラク旧大統領がベンアリの二の舞を踏むまいと、2月2日に「親ムバラク派」と称する暴漢(主に政権に雇われた貧困層や警察官)をタハリール広場の反政権派に対して放ち、民衆に恐怖を植えつけて分断しようとした。抗議運動がつづいた18日間の死者は三百人以上にのぼるといわれ、多数の市民が負傷し、逮捕・� �禁された。しかし、暴挙を受けても彼らは自由の象徴となった広場から離れず、自警団を組織して混乱を阻止した。広場では、携帯電話の充電、水・食料の配給、ゴミの処理、掃除などが自治によってオーガナイズされ、負傷者はボランティアの医者・看護士によって無料で治療された。ソーシャルメディアを駆使する若者とイスラム教徒、コプト(エジプトのキリスト教徒)、労働者、医者、弁護士、教師などさまざまな職業と階層の人々が共生し、議論をたたかわせ、力を合わせ、助け合った。途中から家族連れや女性も大勢運動に参加し、男女を分離しようとした宗教者は一笑に付された。他者を尊重する寛容な民主主義の理想が実践されたのだ。ムバラク辞任の後に、彼らは広場の片づけと清掃を行った。
チュニジアとエ� �プトの民衆は、焼身自殺した同胞の無に帰された存在と屈辱感を自らに重ね、長年の不正な政治にこれ以上我慢はできないと立ち上がった。彼らが求めるのは自由と公正な社会ーー民主主義の理想であり、人らしく生きること、つまり人間としての尊厳である。抗議運動が広がり、大勢の人が同じ理想と希望を抱いているのを実感した彼らは、恐怖から解放された強靱な集団になった。そして、非暴力の市民に催涙弾や棍棒ばかりか実弾で応酬する政権に対して、死も怖れずに立ち向かった。共通の理想と希望のもとに行動する人々は、連帯によって、個々の限られた能力を超えた大きな力を発揮する。わたしたちはいくつかの社会運動の中にそれを垣間見てきたが、チュニジアとエジプトの民衆はまさにその力を示した。革命の過程で民 衆は暴徒と化すこともあるが、ふだん抑圧されていた尊厳をとり戻し、高い倫理性を発揮する可能性をもつのである。理想と希望を信じて連帯する人間は、自由と尊厳をとり戻して新たな社会を切り開くことができるーーアラブの民衆が全世界に示したこの大きな教訓を、心に刻みたい。
(中略)
チュニジアとエジプト革命の映像を何日もつづけて見た人には、その息吹が感じられただろう。ブッシュの戦争によっては当然もたらされなかった民主主義を、アラブの民衆が自分たちで築き始めたのだ。その波動は、世界のあちこちに伝わっていくような気がする。
2011.2.12 飛幡祐規(たかはたゆうき)
(引用ここまで)築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2011-02-21
築地市場移転での廃業には財政的支援も、と推進派理事長候補。まさに非実在札束で頬を叩く官製地上げ
■2011-02-23
イシハラ都知事不出馬?東京に埋め込まれた地雷とトロイの木馬との闘いが続きます
身近な一歩が社会を変えるきまぐれな日々の中でそこに存在する良き人生と生活への切実な望みを民主党にわからせるために、低気温のエクスタシーの中のアブナイ日本が壊れる前に、生まれてきて良かったと感じられる社会にしたいけどとりあえずどうしたらいいかkimeraれない人と、イル・サンジェルマンの散歩道のくろすろーどにあるアダージォな午後のカフェの窓辺でお茶にクリーム入れてみんななかよく鍋パーティーして、世界の片隅で税制についてのニュースやルンペン放浪記やペガサス・ブログ版や転成仁語やイラク・ホープ・ダイアリーや広島瀬戸内新聞や虹の日記やvanacoralの日記や黙然日記やフランス語の練習帳や「ユニオン」と「労働ニュース」のアーカイブや琉 球新報や沖縄タイムスや辺野古浜通信や高江の現状を読んで、沖縄問題と北アイルランド問題を同じように考えてみようと思って、消費税と社会保障と国家予算についてのマスコミに載らない海外記事を1947年教育基本法の理念の今日行く審議会とスーパー小論文ハイスクールとアジア連帯講座と内田樹の研究室で超左翼おじさんと見て、大脇道場と言ノ葉工房と内田樹の研究室と知られざるアフガン・イラク・北朝鮮と日本とカナダde日本語をはげしく学び、はげしく遊んだところで、労働組合ってなにするところだろうとか、どうしたら湯浅誠さんや戸倉多香子さんや保坂展人さんのために団結は力ですくらむ組んで多世代交流のブログ広場の多文化・多民族・多国籍社会で「人として」転がるひよこ豆のように情報流通を促進できるか� ��か、明日も晴れの空と風と、月と、星のもとで白砂青松の雪裏の梅花やブーゲンビリアや古い寺を多く見て日常で思った事、感じた事をつらつら好き勝手に書きながら国会議員定数削減・比例削減に反対するInternet Zoneのサイバー政治団体秘書がシジフォスにも負けたくないと「どこへ行く、日本。」とつぶやくおしごと日誌。
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